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ショートストラングルの戦略(5)

オプション取引
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本稿では、セータ一定でのローリング戦略で、原資産価格変化が起きた時の、オプション価格の変化について考察した。

コールオプションでのシミュレーション

日経225オプションを事例として用いる。以下を共通のパラメーターとして、同一セータ(※実際には同じ値にすることがきないため、実際に使用した値を表に示した)における権利行使価格、デルタ、ガンマおよびプレミアム(オプション価格)を計算した。ボラティリティは、観察した日付の実際のプレミアムを元に計算した値を表に示した。なお、1年の日数として取引所の稼働日である257日と設定し、満期までの日数は取引所の稼働日数を用いた。
さらに、原資産価格\(S\)が1,000、2,000、3,000円上昇した時のプレミアム\(V\)を計算し、原資産価格が67000円の時のプレミアムとの差分\(dV\)をそれぞれ計算した。

パラメーター値
原資産価格\(S\)67,000
権利行使価格\(K\)下の各表に記載
非危険利子率\(r\)0.0285
配当利回り\(q\)0.0161
満期日\(T\)2026年9月11日
日付\(t\)下の各表に記載
ボラティリティ\(\sigma\)下の各表に記載

3つの条件でシミュレーションしたので、以下に計算結果を示す。また、\(dV\)をグラフに示した。
\(dV\)のグラフから経日で減少する傾向が見られた。この傾向は、条件(3)で最も高かった。

このことは、ボラティリティ\(\sigma\)の変化を無視した場合、セータ\(\varTheta\)一定でローリングすれば、原資産価格\(S\)の急騰によるプレミアム\(V\)の急騰は、満期に近づくほど減少することを示している。

(1)初回デルタ0.05その後セータ一定(-11前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
権利行使価格\(K\)77,50076,50075,50074,00072,000
セータ\(\varTheta\)-11.38-11.72-11.52-12.57-13.90
デルタ\(\varDelta\)0.04610.04150.03880.02860.0197
ガンマ\(\varGamma\)0.00001710.00001770.00001740.00001890.0000206
ボラティリティ\(\sigma\)0.27610.27540.27510.27560.2778
プレミアム\(V\)10482563717
\(V\)+1,000円1601341007750
 +2,000円238209169149129
 +3,000円345320274266289
\(dV\)+1,000円5652444033
 +2,000円134127113112112
 +3,000円241238218229272

(2)初回デルタ0.10その後セータ一定(-20前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
権利行使価格\(K\)75,00074,50074,00073,00071,500
セータ\(\varTheta\)-20.13-20.32-19.55-20.29-20.93
デルタ\(\varDelta\)0.09690.08380.06520.05140.0320
ガンマ\(\varGamma\)0.00003040.00003070.00002950.00003040.0000308
ボラティリティ\(\sigma\)0.27510.27530.27560.27650.2787
プレミアム\(V\)2481861207129
\(V\)+1,000円36528720114281
 +2,000円515430325257194
 +3,000円710615500440410
\(dV\)+1,000円117101817152
 +2,000円267244205186165
 +3,000円462429380369381

(3)初回デルタ0.15その後セータ一定(-27前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
権利行使価格\(K\)73,50073,50073,00072,50071,000
セータ\(\varTheta\)-26.89-25.80-26.57-25.17-30.17
デルタ\(\varDelta\)0.14550.11570.09730.06740.0501
ガンマ\(\varGamma\)0.00004040.0003880.00003980.00003750.0000442
ボラティリティ\(\sigma\)0.27600.27600.27650.27710.2797
プレミアム\(V\)41027519310148
\(V\)+1,000円575415315190126
 +2,000円790600485335284
 +3,000円1060840720550565
\(dV\)+1,000円1651401228978
 +2,000円380325292234236
 +3,000円650565527449517

ガンマ\(\varGamma\)の計算結果も表に示しているが、ほぼ一定に見える。このことは、ブラック・ショールズの公式から次のように導かれる。

\(\quad rV=\dfrac{\partial V}{\partial t}+\dfrac{1}{2}\sigma^2S^2\dfrac{\partial^2 V}
{\partial t^2}+rS\dfrac{\partial V}{\partial S}\)

\(\quad rV=\varTheta+\dfrac{1}{2}\sigma^2S^2\varGamma+rS\varDelta\)

\(\quad \varTheta=-\dfrac{1}{2}\sigma^2S^2\varGamma-rS\varDelta+rV\)

\(r\)が短期で無視できるとすると
\(\quad \varTheta=-\dfrac{1}{2}\sigma^2S^2\varGamma\)

が導かれ、\(\varTheta\)が一定、ボラティリティ\(\sigma\)もほぼ一定であるので、\(\varGamma\)がほぼ一定であることが分かる。


グリークスを用いたプレミアム変化の計算

今度は、上で求めたデルタ\(\varDelta\)とガンマ\(\varGamma\)を用いて、原資産変化に伴うプレミアム変化\(dV\)を以下の式にて計算し、下表に示した。
\(\quad dV=\varDelta・dS+\dfrac{1}{2}(dS)^2\varGamma\)

上述での計算結果は上段に、ここでの計算結果を下段に括弧書きで示した。原資産価格変化+1000円ではズレは少なかったが、+2000円、+3000円と原資産価格の変化が大きいほど、また満期に近づくほど、ズレは大きくなった。デルタ\(\varDelta\)とガンマ\(\varGamma\)が微分係数であるため、原資産価格の変化が大きいほどズレが大きくなるのは、当然の結果と言える。

(1)初回デルタ0.05その後セータ一定(-11前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
デルタ\(\varDelta\)0.04610.04150.03880.02860.0197
ガンマ\(\varGamma\)0.00001710.00001770.00001740.00001890.0000206
\(dV\)+1,000円56
(51)
52
(50)
44
(48)
40
(38)
33
(30)
 +2,000円134
(126)
127
(118)
113
(112)
112
(95)
112
(81)
 +3,000円241
(215)
238
(204)
218
(195)
229
(171)
272
(152)

(2)初回デルタ0.10その後セータ一定(-20前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
デルタ\(\varDelta\)0.09690.08380.06520.05140.0320
ガンマ\(\varGamma\)0.00003040.00003070.00002950.00003040.0000308
\(dV\)+1,000円117
(112)
101
(99)
81
(80)
71
(67)
52
(47)
 +2,000円267
(255)
244
(229)
205
(189)
186
(164)
165
(126)
 +3,000円462
(428)
429
(390)
380
(328)
369
(291)
381
(235)

(3)初回デルタ0.15その後セータ一定(-27前後)

 2026年
8月10日
2026年
8月17日
2026年
8月24日
2026年
8月31日
2026年
9月7日
デルタ\(\varDelta\)0.14550.11570.09730.06740.0501
ガンマ\(\varGamma\)0.00004040.0003880.00003980.00003750.0000442
\(dV\)+1,000円165
(166)
140
(135)
122
(117)
89
(86)
78
(72)
 +2,000円380
(372)
325
(309)
292
(274)
234
(210)
236
(189)
 +3,000円650
(618)
565
(522)
527
(471)
449
(371)
517
(349)

まとめ

セータ\(\varTheta\)一定とした時に、一定額の原資産価格の上昇が起こるときのプレミアム変化を経日でシミュレーションした。その結果、満期に近づくほど、このプレミアム変化が小さくなることが分かった。
このことより、取引期間を通して、損切り金額を同じにし、ローリング時にセータ\(\varTheta\)が同等のオプションを取引すれば、原資産価格の変動\(dS\)による損失リスクは、満期に近づくほど減少することが示された。

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